経営改善計画策定支援事業(通称:405事業)とは

借入金の返済負担などの財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者の経営支援を目的とした国の事業です。
事業者は、認定支援機関(※1)の支援を受けて「経営改善計画」を策定することで、借入金の返済条件の変更や資金調達などの金融支援を受けられます。
また、計画策定から3年間は認定支援機関のアドバイス(モニタリング)を受けながら経営改善に取り組みます。

この計画策定とモニタリングについて、事業者が認定支援機関に支払う費用のうち3分の2(上限200万円)を国が代わって負担してくれるため、通常のたった3分の1という少ない費用で経営改善に取り組むことができます。

※1 認定支援機関
経営に関する専門知識や実務経験が一定レベル以上の者に対して、国が認定する公的な支援機関のことを指します。具体的には、商工会や商工会議所など中小企業支援者のほか、金融機関、税理士、公認会計士、中小企業診断士、弁護士などが認定されています。

経営改善計画 とは

事業者の状況によって異なりますが、主に以下のような内容を含む計画を指します。

・企業概要(会社情報、株式、役員状況など)

・ビジネスモデル俯瞰図

・グループ相関図・組織図

・経営改善の骨子、事業の方向性

・経営改善の具体的な施策・実施時期

・数値計画(損益計画、財産計画、キャッシュフロー計画など)

・借入金の返済計画

・モニタリング計画(原則3年間)

活用のメリット

「経営改善計画策定支援事業」を活用することで、以下のようなメリットが考えられます。

  • 金融支援(返済条件の変更や新規融資等)をスムーズに受けられる
  • 3年間、専門家から経営改善のアドバイスを受けられる
  • 資金繰りが改善し、本業に専念できる
  • 金融機関や取引先からの信頼性を確保できる
  • 従業員のモチベーションや生産性が向上する

対象となる事業者

中小企業・小規模事業者であるとともに、以下の2つを満たしていることが必要です。

1.借入金の返済負担などの財務上の問題を抱えていて、金融支援が必要であること

金融支援とは、借入金の返済条件の変更や元本返済の棚上げ、資金調達などを指します。
これらの金融支援を必要とせずに事業計画を策定する場合は「早期経営改善計画」策定支援事業という別の制度を活用する形になります。

2.自ら経営改善計画を策定することが難しいこと

認定支援機関による計画策定・モニタリング支援が必要なためです。

また、個人事業主は支援対象ですが、社会福祉法人やLLP(有限責任事業組合)、学校法人は対象外です。
その他にも支援対象とならない業種がありますので、個別に経営改善支援センターにお問い合わせください。

制度利用の流れ

1.外部専門家(認定支援機関)との連携・ヒアリング


計画策定支援を行う外部専門家と連携し、本制度の活用や経営改善の方向性について取り決めを行います。
当社の場合、お問い合わせいただいた後、ヒアリングを通じて現在の経営状況やご要望をお伺いし今後の支援についてご提案させていただきます。

2.利用申請


所定の書式に従って利用申請書を作成し、外部専門家と連名で経営改善支援センターへ提出します。この制度は金融支援を受けることを目的としているため、外部専門家に加えて主要金融機関(メイン行または準メイン行)も連名で利用申請を行うことが求められます。
もし、金融機関の連名を得られない場合には、別途、金融機関から「この制度を利用して金融支援を行うことを検討する」という旨の確認書面を事前に受け取る必要があります(※1)。その後、経営改善支援センターが申請書の内容を確認し、申請が適切と判断された場合は、外部専門家にその旨が通知されます。

※1 確認書面は、あくまでも「金融支援を検討する」ことに対する書面ですので、金融支援を確約するものではありません。

3.経営改善計画の策定・合意形成


外部専門家の支援を受けて「経営改善計画書」を策定します。その後、策定した計画書について全ての金融機関から「金融支援についての同意」を得ます(※2)

※2 「金融支援についての同意」を得る方法として、①バンクミーティングの開催、②各県の信用保証協会による「経営サポート会議」の活用、③中小企業再生支援協議会への案件の引継ぎの3パターンのうち、状況に応じていずれかを実施します。

4.費用申請・支払(計画策定に対する費用)


全金融機関の合意を得た後、所定の書式に従って費用申請書を作成し、外部専門家と連名で経営改善支援センターへ提出します。経営改善支援センターが経営改善計画書と費用申請書の内容を確認し、申請が適切と判断された場合は、外部専門家にその旨が通知されます。その後、経営改善支援センターから外部専門家に対して、計画策定費用の3分の2(モニタリング費用も含めて上限200万円)が支払われます。

5.モニタリング


経営改善計画にもとづいて、計画策定から3年間、外部専門家によるモニタリングを受けます。モニタリングにおいて、計画と実績の乖離が生じている場合には、適切なアドバイス等を受けながら改善に取り組みます。

6.費用申請・支払(モニタリングに対する費用)


外部専門家は、計画の実施状況について「モニタリング報告書」を作成し、所定の書式に従って費用申請書類を作成し、経営改善支援センターにモニタリング報告書とともに提出します。経営改善支援センターが報告書と申請書の内容を確認し、申請が適切と判断された場合は、外部専門家にその旨が通知されます。その後、経営改善支援センターから外部専門家に対して、モニタリング費用の3分の2(計画策定費用と含めて上限200万円)が支払われます。

費用負担について

この制度では、借入金の返済などの財務上の問題を抱えている事業者が対象となることから、事業者に過度な費用負担が生じないよう事業規模に応じて費用金額の原則額が定められています。また、計画策定後のモニタリングについても、事業者の事業規模に応じた適切な頻度・金額とすること、計画の進捗状況についての報告先(計画に同意した金融機関)との関係で必要となる範囲内で実施すること、と定められています。

企業規模費用負担の対象金額
小規模(売上1億円未満かつ有利子負債1億円未満)100万円以下(うちモニタリング費用は総額の2分の1)
中規模(売上10億円未満かつ有利子負債10億円未満)200万円以下(うちモニタリング費用は総額の2分の1)
中堅規模(売上10億円以上または有利子負債10億円以上)300万円以下(うちモニタリング費用は総額の2分の1)

この制度の詳細については、中小企業庁のホームページをご確認ください。
中小企業庁:認定支援機関による経営改善計画策定支援事業

また、詳しく知りたい・検討したいとお考えの経営者様は、当社までお気軽にお問い合わせください。